天の光はすべて星

推し(Vtuber)についての記事を書く、それだけの場所

射貫まとい/名に想いを込めるということ

f:id:gonesouth:20180921002038p:plain

 人が人に名を付ける時、そこにはどんな感情が生まれるのだろう。

 新たな生命の誕生を祝い、子に名を付けた親の気持ちは筆者にはまだ想像することしかできない。だが、ひとつだけわかることがある。それは、名とは願いだということだ。

 想いを込め、それが成就することを願う。今回はあなたのハートを射貫きたい、その想いから生まれたアイドルVtuber、射貫まといについて語ろうと思う。

 

射貫まといとは?

 射貫まといは、歌って踊れるバーチャルタレントの発掘・育成を目的に作られたバーチャルタレント事務所KAGAYAKISTARSに所属するアイドルVtuberである。年齢は18才。引きこもっているので、どうも学校には通っていないようだ。

 一見普通の自己紹介に見えるが、ここで注目してもらいたいのは「ズキューンf:id:gonesouth:20180924193402p:plain」だ。この意味を知ったことで、筆者の命運は決まってしまった。本記事はその回顧録のようなものだ。読者の方々もぜひ巻き添えにしたいので、最後までお付き合いいただけると幸いである。



赤いベレー帽の女

  動画が公開されたのも自己紹介、歌の順番だったこともあり、まずは自己紹介を見ていただきたい。デビュー当時から追っている人たちの追体験というやつである。


 筆者もひさしぶりに見たが、頭の中に一番深く刻まれた情報がデスソースを飲めることだったので、本当にこれでいいのか? と本人に問うてみたくなった。

 彼女は全体的に赤いものが好きなようで、リンゴ、デスソース、スイカバーとその興味は多岐にわたる。動画一覧でサムネイルを見ていると、手書きの赤文字がいくつか目に入ることだろう。一時期からそれがなくなったのは、運営スタッフにサムネイルが怖いとお叱りを受けたからである。これには筆者も笑ってしまった。

 他にはアイドルが好きで、好きな作品にラブライブ!を挙げている。アイドルという夢を意識し始めたきっかけでもあり、強い思い入れを抱いているようだ。

 動画の最後ではカヌレを歌っているので、続きを聞いてみたいと思った方は下の動画もどうぞ。ある意味これが最後の晩餐になることだろう。

 

 (歌も踊りも好きで、ピアノも多少弾けるとのこと。アイドル性は高い)

ズキューンの意味はね……

  筆者はこれをアイドルのよくある不思議ワードだと思っていた。ファンの多くもそう考えていたことだろう。彼女の手のひらで転がされていたとも知らず……

 では、答え合わせといこう。ズキューンf:id:gonesouth:20180924193402p:plainの意味はこれだ。

 (KAGAYAKISTARS関連の配信アーカイブは外部サイトでの再生が無効になっているため、リンク先で見ていただきたい。最初から見たい方はこちらからどうぞ)

 ………………

 …………

 ……


 ……ズキューンf:id:gonesouth:20180924193402p:plainの意味、おわかりいただけただろうか?

 彼女が赤いものが好きな理由はハートを象徴する色であり、血の色だからだ。ハートが意味するものはもちろん……つまり、ズキューンf:id:gonesouth:20180924193402p:plainとは……そういうことなのだ。*1

 同じ事務所の仲間である早乙女ぽえむの配信でも、マスカルというマスコットキャラをズキューンf:id:gonesouth:20180924193402p:plainする機会をうかがうお茶目な姿が見られる。ちなみにファンの呼称はといタゲ(射貫まといのターゲットの略)。マスカルもファンも彼女にとっては標的に他ならない。

 

f:id:gonesouth:20180923234307j:plain

 (ゲームの流血表現について語るまといせんせえ)

 痛がっている姿を見るのが好きなドSであり、表現としての流血が好きなようだ。モンスターハンターの話が配信内で出ているが、血が出なくなったからやめたと話している。

 ホラー映画(スプ○ッタOK)も好きで、コメディを見るよりホラー映画を見ていた方が笑えて楽しいとのこと。また、後に明らかになったのだが、彼女は北センチネル島が故郷だと語っている。

 ……ここまで読んでくれた読者の中には顔をしかめている方もいるかもしれないが、どうかもう二章分読み進めて欲しい。流石に筆者もただの危険人物の記事を書いたりはしない。これは避けては通れない痛みなのだ。

 

誰も知らない物語

 射貫まといの2回目の配信はゲーム実況だった。遊んだゲームはクライムアクションの金字塔GTA5。のびのびと暴力が振るえるため、彼女にとっては理想の作品だと言えるだろう。

f:id:gonesouth:20180828113319p:plain

 (北センチネル島出身者にとって、動くものはすべて敵だということがわかる)


 初回放送があの内容なため今回もアイドルの配信内容としては事故しかないが、そちらはお時間がある時にでも見ていただくとして、筆者がこの動画を取り上げた理由は別にある。

 配信終盤のことだ。マシュマロに届いた質問に答えた後、一曲歌って終わる予定だったのだが、そこで選ばれた曲が君の知らない物語(アニメ「化物語」のED曲)だった。

 記事でも概要は記載しているが、実際に動画を見た方が理解しやすいかもしれない。

 (最初から見たい方はこちらからどうぞ)


 初のゲーム実況ということもあり、最後はきっちり歌って締めるつもりだったのだろう。それがリスナーたちに、まるでオッサン(プレイヤー)がライブをしているみたいだと、ゲームを起動させたままの配信画面を弄られ続けたことで吹き出してしまい、めちゃくちゃになってしまった。これはもう立て直すのは無理だと彼女も観念したのか、歌の途中で急にオッサンを操り、道路に向かって走り始めた。

 何が起きているのかわからないリスナーたちだったが、「ああそうか好きになるってこういうことだったんだね」と歌いながら、歩行者に向かってロケットランチャーを撃ち放った彼女を見て、あっ……と察するのだった。

f:id:gonesouth:20180828135343p:plain

 (どういうことか実践して教えてくれるまといせんせえ。“Fire!”)

 
 どうしてこうなった。照れ隠しにしたって他にやり方があるだろうと思う自由っぷりに、リスナーたちもただ「どういうことだよ」と突っ込むか、「こういうことなのか」と思考を放棄することしかできなかった。笑った顔も怒った顔も大好きでしたと歌いながら何の罪もない住人を殴り続けるアイドル、それが射貫まといである。

 急遽思いついたオッサンによる野外ロケランライブを最後までやり切った彼女は、続いて行われる仲間の放送を見て欲しいと言い残し配信を終えた。ある意味彼女の活動の方向性が決まったと言える瞬間である。

 これ以降、彼女の配信ではED曲として君の知らない物語を歌う場面がチラホラ出てくるようになる。同期の琴みゆりも配信でこの曲を歌ったことがあるのだが、射貫まといによって散々な目にあったこの街の住人の様子が、リスナーたちの脳裏には浮かんだようだ。言うまでもなく筆者も同じである。

 同じ言葉でも人によって受け取り方が異なる一例である。平和とは……

 

憧れと在り方

 さて、ここまで紹介してきたが、読者の方は彼女にどのような印象を持っただろうか? ドSで、流血表現が好きで、つかみ所のない性格。確かにそうだ、筆者もそれを伝えるために書いてきた。だが、それだけではない。今まで言いたい放題ではあったが、筆者もようやくここで核心に触れることができる。

 Twitterの最初のツイートでも、彼女は「みんなから愛されるバーチャルアイドル目指して頑張ります」と言っている。にもかかわらず、取っている行動はそれとはほど遠いことばかりに見える。愛されたいのであればもっと王道なやり方があるだろう。それなのにこのような行動を取っているのはなぜか?

 彼女にとって、みんなから愛される存在というのがそういうものだからだ。

 


 射貫まといの好きなVtuberキズナアイだ。これはデビュー当時から一貫して口にしている。キズナアイの魅力について考えると、一番はやはり飾らないところだろうか。外見とは裏腹になかなかやんちゃな性格をしており、茶目っ気があって見ていて飽きない。粋がったあとすぐにやられるなど、安定したクソ雑魚ムーブで視聴者を笑顔にしてくれる、みんなから愛されるVtuberだ。

 ここまで書けば筆者の書きたいことは伝わったと思うが、射貫まといも同じなのだ。たとえ相手に怖がられたとしても、彼女は趣味嗜好をさらけ出すことをためらわない。それは飾らずみんなと接していきたいという信条からくる行動に他ならない。自分をネタにすることで周囲を笑顔にしていくスタイルは、彼女もキズナアイも同じなのだ。

f:id:gonesouth:20180902020610p:plain

(ノコギリを描く時になぜか人も描いたりするが、誤解なのだ)*2

 確かに彼女は多少キャラが濃いところがあるかもしれない。だが、人を笑顔にするために陰ながら努力している、ひとつ芯の通ったアイドルであることは間違いない。本人は飄々としているのでわかりにくいが、自分を貫き続けるのは想像しているよりも大変なことだ。それを全うしようとする姿は、きっとこれからも多くの人たちを惹き付けていくことだろう。

 最後に、あるひとつの出会いについて語って、今回の記事を締めたいと思う。

 

名に想いを込めるということ

 先月、KAGAYAKISTARSに所属する7人の女性アイドルが、キズナアイのデビュー曲であるHello,Morningを歌った動画を一斉にアップロードした。

  それぞれ自分の表現したいものを考えて収録に臨んだと思うが、射貫まといは何を伝えたくて歌ったのだろうか。曲を聴きながら筆者はそのことについて考えていた。

 聞いたことのある方はピンとくると思うが、この曲は始まりの歌だ。自身の生まれた意味を問い、これからのことに想いを馳せる。キズナアイだけでなく、バーチャルの世界で生きる他のVtuberたちにも共通する普遍性のある歌だ。

 Vtuberである射貫まといにとってもそれは変わらない。そのうえでキズナアイへの強い気持ちを込めて歌ったことが、動画の紹介文からも伝わってくる。アイちゃんのもとまで届け、と。そして、翌日。


 彼女の想いは無事届き、キズナアイと直接Twitterでやりとりをし、


 相互フォローの関係になった。

 キズナアイが大好きな彼女にとって、これはひとつの到達点であり、そして新たな始まりでもある。みんなから愛されるキズナアイという憧れと接したことで、彼女の中にある想いはより強くなったことだろう。


 みんなの心を射貫きたい。衣服を身にまとうように自然とみんなに寄り添える存在でありたい。射貫まといという名が、このふたつの願いから生まれたものなのだとしたら、みんなに愛されたいという想いは常にここに宿っている。

 デビュー当時に伝えた言葉を、一ヶ月後の彼女は口にした。活動を続けることで様々な経験をしていくと思うが、どんなに大きくなっていったとしても、きっと彼女はこう言ってくれるだろう。

 「私の夢はみんなから愛されるバーチャルアイドルです」と。

 

 

 

 

(追記 XX/みんなで叶える物語)

 先日まで彼女は声優グランプリの紙面出演を競うオーディション(SHOWROOMのイベント)に参加していた。視聴者の応援によって得られるポイントを元に順位を競い合うイベントで、結果はなんと1位。星集め、50カウント、ギフト投げ、視聴者側のさまざまな協力がなければ、イベントをこの順位で終えるなど到底不可能だったろう。

 期間中朝から夜まで頑張る彼女の姿を見て、途中から心を動かされた人もいただろう。早起きが得意ではないのに、深夜まで放送をやってリプに返事をして、短い睡眠時間をやりくりして彼女は11日間を走り抜けた。これだけ長丁場の戦いを最後までやりきるのは並大抵のことではないはずだ。だが、彼女は頑張った自分を認めてあげることはあっても、どうだと誇ることはない。ただ、ありがとうと素直に感謝を口にするだけだ。イベント最終日ラストの配信で、11日間のことを振り返りながら語る彼女の姿を見て、アイドルというのはこういう瞬間を経ていくことで大きくなっていくものなのかもしれないと、筆者は感じた。

 射貫まといのアイドル活動はこれからも続いていく。応援してくれるファンや、事務所の仲間/協力者たちとともに、KAGAYAKISTARSの目標である武道館でのライブを目指して。

 

 <関連リンク>
射貫まとい(Twitter)
射貫まとい(YouTube)

*1:ハートという単語が出ていない場合は単に刺す音として使用されることが多い。

*2:画像は、【QuickDraw】初めてのお絵描き【射貫まとい】より。